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2023-08-29 19:30:00

人体で最も多いミネラル「カルシウム」のすべて

こんにちはfan's-PT トレーナーの丹下です。

 

みなさんは「カルシウム」と聞くとどんな食品が浮かびますか?

・牛乳

・小魚

・豆腐

などでしょうか。

 

1グラム当たりのカルシウム量では甲殻類(エビ、カニ)や香辛料のバジルなどが特に多く魚類、大豆食品、乳製品などに多く含まれていることはご存じの方も多いと思います。

 

しかし、実はほうれん草などをはじめとする野菜類にもカルシウムは含まれており、草食動物などは植物から十分な量のカルシウムを摂取しています。

我々が食べている野菜にも実は生きていくのに十分すぎるほどのカルシウムが含まれています。しかしながら人間は食事から摂取したカルシウムの20%ほどしか吸収することができないのです。人間をはじめとする雑食動物は驚くほどカルシウムの吸収が下手くそなのです。

 

 1.カルシウムの役割

カルシウムと聞くと、「骨密度」との関わりが真っ先に浮かびと思います。

実際人体でもっとも多いミネラルであるカルシウム(体重の1~2%を占める)の中の99%は骨の中にあります。骨密度との関わりは言うまでもなく骨中のカルシウム濃度の減少は骨の強度を低下させ骨粗鬆症を引き起こします。
さらに重要なのはカルシウムは筋肉の収縮、心筋(心臓)の脈拍の調節、神経伝達と生きていくのに必要な活動のほとんどにかかわっています。

 

 

2.カルシウムの吸収

先ほど人間はカルシウムの吸収が下手くそだと書きましたが、そもそもヒトを含め雑食動物はなんでも食べられる代わりに消化効率はとても悪いです。人間は自然界でもっとも多くの食品から栄養を摂取する必要があり、逆に言えば多くの食品をとらないと栄養を補うことができません。

 

カルシウムを吸収するには主に

・マグネシウム

・ビタミンD

この二つが代表的です。

マグネシウムはカルシウムを含む食品には必ずと言っていいほど含まれていますが、体内ではマグカル比といわれるマグネシウムとカルシウムの割合を調節する機能がありこちらがカルシウム摂取のポイントになります。マグカル比はとても重要なので後述します。

ビタミンDは小魚、キノコ類などに豊富で他に日の光を浴びることで合成されることでも有名です。デスクワークや夜勤の方など日中の外出の少ない方は要注意です。

 

 

3.マグカル比

先ほど少し説明したように、人体のマグネシウム・カルシウムの比率をマグカル比といいます。

マグカル比は通常おおむね1:1に保たれており、吸収効率などの問題から、1:2になるように摂取するのが望ましいと言われています。

日本人がカルシウムと聞いて一番に思い浮かぶであろう「牛乳」はどうでしょうか。。牛乳の「マグカル比」はおおよそ1:10です。カルシウムがとても豊富ですね。しかしながら私はカルシウムのために牛乳をたくさん摂ることはおすすめしません。

 

それはなぜでしょうか。。

先ほど人体のマグカル比はほぼ1:1に保たれているといいました。

1:1に保たれているのです!

 

つまり、1:10の食品を摂取したとしてもマグネシウムに対し多すぎるカルシウムは体外へ排出されてしまいます。この時体の中では新しいカルシウムを取り込み古いカルシウムを排出しようとする現象が起こります。これを「脱灰」といいます。日常的には歯のカルシウムが解け出て歯がもろくなる際などに使われる用語です。

 

体内に入ってきた牛乳のマグカル比に反応して人間の体内では多すぎるカルシウムを排出して体内のカルシウム濃度を下げようとします。人体のカルシウムの99%が存在している骨では「脱灰」によってカルシウムが排出され体内のカルシウム量を減らします。

しかしカルシウムは吸収効率が悪く(前述の通り約2割ほどしか吸収できない)骨に移動し取り込まれるまでには時間がかかります。

マグネシウムの量に対しカルシウム量が多すぎる牛乳はカルシウム摂取には不向きといえるかもしれません。

 

 

・歯における脱灰の一例

 脱灰.jpg

 

 

実際に酪農4か国といわれるノルウェー、フィンランド、スウェーデン、デンマークでは牛乳の消費量は世界の大部分を占めていますが、骨粗鬆症患者の数も世界的に見てかなり多くなっています。

しかしこれらの国は日照時間も短くビタミンⅮの合成も少なくなる可能性もあるため一概には言い切れませんが、、

カルシウムを効率よく摂取したい方は、甲殻類、小魚、小松菜、ほうれん草などからの摂取をおすすめします。

 

4.ウエイトトレーニングと骨粗鬆症

 続いて筋トレと骨粗鬆症の関係についてです。

一般的に筋肉量の多い人は骨量(骨の中のミネラルの量)も多いです。つまり骨密度が高いと言えます。これは、筋肉が多くなると血管も太くなり流れる血液の量も増加するためです。

 

血管は骨の中にも通っており筋肉から骨、骨から筋肉へと循環しています。この筋肉と骨を結ぶ特殊な血管(ハヴァース菅とフォルクマン管)を流れる血液の量は筋肉量の増加と共に増加し骨の中により多くの栄養を供給します。つまりより多くのカルシウムが骨中へと流れ込むことになるのです。

 

5.筋肉の収縮とカルシウム

 前述しましたが、カルシウムには「筋肉を収縮させる」、「神経伝達を行う」といった働きもあります。

体内で最も多いミネラルであるカルシウムはカルシウムイオンとして体に存在しています。そのほとんどが骨中に存在していますが、残りは筋肉や血液にも存在します。この筋肉、血液中にあるカルシウムイオンは筋肉を収縮させるための起爆剤の役割を果たします。心臓も筋肉ですから例外ではありません。

 

神経の活動、筋肉の収縮、心拍数の上昇。

これらを伴う筋トレでは、カルシウムの代謝能力が向上するともいわれており、吸収効率を引き上げてくれることも期待できます。

 

実際に厚生労働省では骨粗鬆症を含む骨の疾患の予防として適度な運動と日の光を浴びる(ビタミンDの合成)こと、そしてカルシウムの摂取を推奨しています。

 

6.まとめ

カルシウムの摂取には「マグカル比」が重要です。

マグカル比の開きが少ない

・小松菜

・ほうれん草

・小魚

などを取りキノコ類の摂取、日光を浴びるなどしてビタミンⅮも適度に摂取しましょう。また筋トレを通して骨、筋肉に適度な負荷を与えること、筋肉量を増やし骨へのミネラルの吸収を高めましょう!

 

今回は身近な栄養素カルシウムについてでした。。