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2023-11-19 13:58:00

脚の長さの違いと最適なスクワットフォームを考える

 

こんにちはfan's-PTトレーナーの丹下です。

 

本日は少しマニアックなお話しを。。

 

「スクワット」についてのお話です。

 

どこでも取り組むことができ自重のエクササイズの中でも高強度なので自宅でトレーニングをされている方は避けては通れないエクササイズではないでしょうか。おそらく世界でもっともポピュラーで実施されている筋トレ種目だと思います。

スタジオレッスンなどでの有酸素エクササイズの一環として行われたり、脚の筋トレ種目として実施されていたり、パワーリフティングなどの競技として取り組まれていたりそのやり方は三者三葉でYouTubeやネット記事などでは様々なフォームのポイントが解説されています。

しかしそれらはその人個人のメソッドであり実際には骨格や過去の運動歴、個人個人の得意な運動の動作パターンなどによって変えるべきだと私は思います。

 

そこで今回は「骨格の違いとスクワットのフォーム」に焦点を当てて考察していきます。

 

 

1.適切なスクワットの重心

まず今回の考察ではわかりやすくスクワットはバーベルを担いでいることを前提とします。バーベルを担いでない方や、手にダンベルを持って行っている方も同様に考えていただいて問題ないです。あくまでもわかりやすくするためです。

スクワット.jpg

 

こちらの画像はスクワットの関節角度の図です。

 

背中の〇がバーベルで、バーベルは足の中央(土踏まず)の真上を通っています。

このバーベルと足の中央を結ぶ点線がスクワットの重心線だと考えてください。

 

2.脚の長さによる違い

1.を踏まえたうえでに脚の長さがスクワットのフォームにどう影響するのかを見ていきます。

無題の図形描画.jpg

 

図に大腿骨の長さが違う二人のモデルを用意しました。

具体的には

・二人の身長は同じ

・胴長、短足のAさん

・胴短、長足のBさん

 

つまり、同じ身長で大腿骨の長さの比率が違う二人を比べてみます。

 

これから二人にはスクワットをしてもらいますが、スクワットをする上での条件は二つ

・バーベルは僧帽筋上部に担ぐ(ハイバー)

・大腿骨が床と平行になるまでしゃがむ

 

上記2つの条件を同じにして二人にしゃがんでもらいます。

 

無題の図形描画 (1).jpg

 

このようになりました。

できるだけ同じ比率になるよう線の長さは調節してあります。

 

 

 上の図から注目すべきポイントは3点

・Aさんに比べてBさんはしゃがむ距離が長くなる

・Bさんはしゃがみこんだ時の関節角度が深くなる

・Bさんは各関節へのモーメントアームが長くなる※後述します。

 

まず、Bさんはより深くしゃがむこととなりバーベルの移動距離が長くなってしまいます。このことからAさんに比べより多くの挙上エネルギーを要求されるため不利といえます。

これを解消するためにはバーベルを担ぐ位置を低くする(いわゆるローバースクワット)などの対策が有効かと思います。

 

次に関節角度ですが上の図で分かるように股関節、膝関節、足関節(足首)の屈曲角度がBさんはより大きくなります。このことから、主に股関節、足関節のより高い柔軟性が求められます。長期的に見て腰や股関節のけがを予防するためにストレッチなどで柔軟性を確保する必要があると考えられます。

 

3.モーメントアームとは

最後にモーメントアームについてですが、モーメントアームとは持っているおもりの重心位置と動いている関節の回転軸との距離のことです。

下の画像を見てください。

モーメントアーム.jpg

 

ここから手に持っているバーベルを徐々に倒していきます。

モーメントアーム2.jpg

 

 

バーベルが倒れるにつれて重心との距離が離れ重さが増していきます。

モーメントアーム3.jpg

無題の図形描画 (1).jpg

 

ここで先程の図を見てみます

スクワットにおいては重心は足の中央にあるためAさんよりも大腿骨の長いBさんの方が重心線(赤の点線)から股関節、膝関節までのモーメントアームが長くなり同じおもりを持っているとしても各関節への負担は高くなることが予想されます。

まとめるとBさんタイプの方は長期的に見てより大きな関節ストレスを抱えている可能性が高く移動距離も長いためより長い運動距離、時間安定した動作を求められます。

Aさん、Bさんはスクワット時に必要な体幹の前傾角度も異なるため同じフォームでのエクササイズ実施は困難といえます。

 

 

いかがだったでしょうか。

パーソナルトレーニングでは個々の身体的特徴、特異な動作パターンから最適なフォームの獲得を目指せます。

一人一人の潜在的な危険因子を予測して怪我や関節疾患のリスクを最小限に抑えたトレーニングを提案していきます。

 

我流のトレーニングを脱して最適な結果を出したい方はぜひ一度パーソナルトレーニングを受けてみてください!